公務員、ボーナスもらいすぎじゃない?公務員にボーナスが必要か徹底検証!

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2019年から爆発的に感染拡大している新型コロナウイルス感染症によって、ボーナスが支給されなくなってしまったサラリーマンは多いでしょう。2022年4月6日、改正給与法は、今年度の国家公務員のボーナスを0.15ヵ月分引き下げる、としました。

このニュースを聞いて様々な意見があるでしょう。年間0.15か月分引き下げてもまだ4.3ヵ月分ボーナスがもらえます。公務員はボーナスもらいすぎではないか?と感じている方のために、公務員にボーナスが必要かどうか徹底検証しました。公務員のボーナスに不満がある方は最後まで読んでください。

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この記事を書いた人
橘 隼人

ベストセラー作家:2冊の成功作を持ち、豊かな執筆経験あり。
経験豊富な元公務員:市役所と県庁で計9年勤務。
複数の専門資格:宅建士、行政書士、簿記2級を取得。
不動産・投資のWEB専門ライター:精通した分野での執筆活動に従事。
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ボーナスの定義とは? 

まず、ボーナスとは何かを確認しておきましょう。ボーナスは賞与、特別手当などと呼ばれます。毎月定期的に支給される給与とは別に支給される報酬の事です。

「賞与とは、定期の給与とは別に支払われる給与などで、賞与、ボーナス、夏季手当、年末手当、期末手当などの名目で支給されるものその他これらに類するもの」

出典:(国税庁HP:「No.2523 賞与に対する源泉徴収」 より引用)

このように定義されています。つまり、給与とは別扱いであり必ず支払わなければならないものではありません。業績に応じて変動したり、支給されなかったりすることはあります。ボーナスの支給に関するルールは会社の就業規則に定められているはずです。

公務員のボーナスに該当するものに期末手当、勤勉手当があります。しかし、これらは法令で支給が定められている点では民間企業のボーナスとは異なります。実際には、人事院が民間の水準に合わせて調整しています。

公務員のボーナス 2020年の支給額は? 

公務員のボーナスに該当する期末手当、勤勉手当は民間企業のボーナス水準に合わせて調整されます。2020年度は新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴い、民間企業のボーナス水準が公務員を下回りました。そのため、2010年度以来10年ぶりに国家公務員のボーナスが引き下げられました。地方公務員のボーナスは国家公務員の動向に準じるため、多くの自治体で引き下げとなっています。

国家公務員のボーナス 

2020年(令和2年)の人事院勧告は例年より遅い10月に発表されました。人事院勧告は国家公務員の給与やボーナスが民間とかけ離れないように調整するものです。閣議決定されると、人事院勧告通りに給与法が改定されます。

2020年は勤勉手当の年間支給月数を4.5ヵ月から0.05ヵ月減少し、4.45ヵ月に改定されました。民間企業の支給月数が4.46ヵ月と報告されています。人事院「令和2年公務員給与等実態調査」によると、国家公務員のボーナスは年間平均で約120万円となっています。

地方公務員のボーナス 

人事院勧告は地方公務員のボーナスの水準改定においても影響します。地方公務員の場合は自治体や所属機関によってボーナスが異なりますが、自治体によって差が大きいとされています。総務省「令和2年地方公務員給与実態調査」によると、2020年の平均年間賞与額が約147万円とされています。前年の2019年が約150.2万円であることを考えると、減額となっていることが分かります。

東京などの都市部では年間のボーナスが180万円を超えているところもあります。一方で、北海道などの税収が乏しい地域では100万円以下の自治体もいくつか存在します。とは言え、ほとんどの自治体で100万円を超えていることを考えると、ボーナスに関しては民間企業に比べて高水準であると言えます。支給は夏のボーナスが6月30日、冬のボーナスは12月10日と法令で定められています。

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民間と公務員、年収で比べてみよう 

ボーナスに関しては民間企業に比べると高水準で支給されていることがわかりました。では、今度は民間企業のサラリーマンと公務員の年収を比較してみましょう。結論から言うと、公務員は高収入のイメージがあるかもしれませんが、実際はそうでもありません。

国家公務員の年収 

人事院の令和2年国家公務員給与等実態調査によると、国家公務員の平均給与は各種手当を合わせて41万6,203円でした。ここにボーナスを足すと、約650万円になります。あくまでも単純計算による平均年収です。

国家公務員とは言っても職種によって俸給が異なるため、年収も違ってきます。また、勤続年数によって号俸は上がっていきますので、年齢によっても異なります。

地方公務員の年収 

総務省の令和3年 度地方公務員給与実態調査結果等の概要によると、地方公務員の一般行政職の平均月給は35万9,895円でした。平均年齢は42.1歳です。単純計算すると、ボーナスなしで年収は約431万円です。先ほどのデータに合わせてボーナスが約147万円だとすると、総年収は578万円です。

もちろん、公務員と言っても地方によって年収差はあります。2020年に総務省が発表した地方公務員年収データを市町村別に見ると、1位は神奈川県厚木市の平均年収739万円です。最下位は東京都青ヶ島村の392万円であり、その差は347万円にもなります。ちなみに、ワースト2位は山梨県小菅村で433万円なので年収が400万円を下回っているのは青ヶ島村のみであることを考えると、全国的に平均して年収は高めの傾向にあると言えるでしょう。

民間と公務員との年収の差は? 

一方、民間企業の平均年収は「平成29年分民間給与実態統計調査結果について」によると432万円です。公務員のワースト2位の山梨県小菅村とほぼ同等と考えると、民間企業の方が年収が低いと感じます。しかし、民間企業は大企業から零細企業まで非常に幅が広いです。単純に比較することが正しいかよく考える必要があるでしょう。

また、公務員の給与は民間企業と均衡を保つように調整されています。よって、民間企業と大幅な解離が起こることはありません。一部上場企業などの一流企業に比べてすごく高いという訳ではありません。

公務員のボーナスはどうやって決められる? 

公務員のボーナスは民間企業の水準に合わせて調整されています。国家公務員の場合は人事院が行う人事院勧告に基づいて決定されます。地方公務員の場合も同じように各地の人事委員会が基準を調査して勧告します。地方公務員は国家公務員の水準に合わせることが多いですが、自治体の財務状況などを考慮して決めるケースもあります。いずれにしても、民間企業と大きな解離がないように調整されるということです。

公務員のボーナスは期末手当と勤勉手当です。期末手当の計算式は

期末手当の計算式

[(給料+扶養手当+地域手当)+{(給料+地域手当)× 職務段階別加算割合}+{給料×管理職加算割合}]× 支給月数 × 期間率

となります。複雑ですが、職務の等級による加算措置の事を職務段階別加算、課長以上の管理職に加算されるのが管理職加算です。最終的に支給月数が入っていることから在籍期間に応じて計算されるボーナスとされます。

勤勉手当の計算式は

勤勉手当の計算式

[(給料+地域手当)+{(給料+地域手当)× 職務段階別加算割合}+{給料×管理職加算割合}]× 成績率 × 期間率

です。

似ていますが、最終的に成績率が入っていることから、勤務成績に応じて計算されるボーナスと言えます。

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公務員にボーナスは必要! 

公務員はボーナスをもらいすぎ、とよく言われますが本当でしょうか?公務員のボーナスは国家公務員は法律、地方公務員は条例によって細かく決められています。ボーナスの基礎になる給与も民間の水準に合わせて調整されています。大手企業が平均で9%ボーナスカットなのに公務員は0.05ヵ月分なんて少なすぎるという意見もあります。

しかし、新型コロナウイルス感染症によって公務員の仕事は膨大に増えており、サービス残業をしている公務員も相当数います。公務員は公務員で新型コロナウイルス感染症と戦っているわけです。つまり、民間企業のボーナスが減ったから公務員のボーナスも同等に減らすということはやや強引な理屈になります。赤字でもボーナスを払っている企業はたくさんあります。公務員だって人です、ボーナスや年収を下げてしまっては経済が滞ってしまうリスクがあります。公務員にもボーナスは必要と言うことです。

まとめ 

昨今の新型コロナウイルス感染症によって話題になっている公務員のボーナスについてまとめました。公務員のボーナスは様々な民間企業の水準に合わせて調整されています。世の中の流れと大幅に解離することはありません。法律や条例で決められたものであり、一般企業のように大幅な利益が出たから臨時のボーナス支給なんてことはありません。お互いに隣の芝生が青く見えているだけではないでしょうか。公務員のボーナスについて少しでも理解が深まって頂けますと幸いです。

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