公務員の副業は禁止されているが、趣味の同人活動をしたい。
この記事では、公務員の同人活動はできるのか、副業に該当するのかをテーマとしています。
結論をいうと、公務員の同人活動は可能ですが、グレーゾーンです。
条件を満たしていなければ、副業になってしまい処罰されます。
この記事を読むと、公務員が同人活動するための条件がわかります。
公務員の副業を禁止している法律と具体的にどのような処罰があるのかがわかります。
つまり、この記事を読むと、公務員でもリスクを避けて、安全安心に同人活動を楽しめるようになるでしょう。
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公務員で趣味の同人活動をしたら副業になる?
公務員がコミケで同人誌やイラストを販売する、いわゆる同人活動は副業になるのでしょうか?
結論でいうと、副業ではありません。
しかし、グレーゾーンです。
一体、なぜグレーゾーンなのでしょうか。
公務員が個人の趣味の範囲として、単発的にコミケで販売してお金をもらうことは可能です。
しかし、公務員は副業を禁止されています。
そのため、コミケで同人誌やイラストを販売して金銭を得る場合は、営利目的でないことを証明する必要があります。
コミケで販売した物や行為が、公務員の信用を失墜していないか追及される可能性があります。
これが、グレーゾーンの理由です。
グレーゾーンのため、コミケで同人誌やイラストを販売して金銭を得る場合は、条件を満たして安全に副業する必要があります。
この記事では、条件を満たして安全に副業する方法をコミケで同人誌やイラストを販売して金銭を得る場合を例として説明します。
営利ではないこと
公務員は、営利目的の副業が禁止されています。
しかし、営利目的でなければ副業が許可されます。
営利目的でない副業のポイントは2つあります。
公務員がコミケで同人誌やイラストを販売する場合は、定期的かつ継続的にならないことと、売上に注意しましょう。
信用確保・秘密保持・職務専念を意識すること
公務員には、信用失墜行為の禁止、守秘義務、職務専念義務という法律が課せられています。
信用失墜行為の禁止とは、公務員としての信用を傷つけ、公務員全体の不名誉となるような行為はならないという法律です。
公務員がコミケで同人誌やイラスト販売をした時、同人誌やイラストの内容が信用失墜行為の禁止に該当するか注意が必要です。
守秘義務は、公務員が職務に関わって知り得たすべての秘密は漏らしてはならないという法律です。
同人誌やイラストの内容が守秘義務に触れている場合は、処罰の対象になります。
職務専念義務は、勤務時間や職務に要するすべての注意力を公務員は職務を果たすことに使わなければならないという法律です。
同人活動を勤務時間に行ったり、夜遅くまで活動して職務が疎かになると職務専念義務に触れてしまいます。
同人活動することは問題ありません。
しかし、同人活動が信用失墜行為の禁止、守秘義務、職務専念義務という法律に触れない範囲で行うことを意識しましょう。
許可を得ていること
公務員が副業する時は、許可を得る必要があります。
許可を得るためには、必要な申請と手続きがあります。
それは、「兼業許可申請書」に記入して所属先で決められた手続きをすることで許可が得られます。
「兼業許可申請書」と一緒に、副業先の契約条件が記載されている委託状や契約書、副業先までの経路と時間がわかる書類、副業先の実態を確認する書類が必要となります。
所属先で個別の手続きの方法がありますので、詳細は所属先の人事担当に問い合わせましょう。
単発的に公務員が講演して報酬が発生しても問題ありません。
コミケで同人誌やイラストを販売して、報酬を得てた場合も問題ありません。
それは、副業は継続的であること、または定期的に仕事している場合と定義しているため、単発的な仕事を受ける場合は副業にならないからです。
ただし、報酬額については、「社会通念上相当と認められる程度を超えない額」とされています。
この「社会通念上相当と認められる程度を超えない額」の解釈は曖昧で人によってばらつきがあります。
そのため、報酬額についても許可を得ておく方が無難といえます。
公務員の副業は法律で禁止されている
公務員の副業を禁止する法律は、国家公務員法と地方公務員法の2つあります。
国家公務員法は、第103条と第104条であり、地方公務員法は第38条です。
これらの法律を知ることで、公務員が安全に副業する時のポイントを理解できるようになります。
次節では、公務員の副業を禁止する法律について、詳しく紹介します。
国家公務員法における規定
国家公務員の副業は国家公務員法第103条と第104条で制限されています。
第103条は、国家公務員が営利企業の役員になること、自営で副業することの2種類を制限しています。
第104条では、国家公務員が営利企業の役員になることと、自営で副業すること以外の報酬を得る副業を制限しています。
これから、その第103条と第104条について、わかりやすく説明していきましょう。
国家公務員法第103条
第103条は、「役員兼業」として、国家公務員が営利企業の役員になること、「自営兼業」として、自営で副業することを禁止しています。
「役員兼業」とは、国家公務員が営利目的の企業役員になることを指します。
国家公務員は、営利企業の役員になれません。
国家公務員は、名義だけでも役員となることも禁止されています。
「自営兼業」とは、一定規模以上の不動産賃貸業や太陽光発電による売電、農業のことです。
自営兼業は上司の承認を得た場合には可能とされています。
自営が承諾される時の基準は、副業と公務が利害関係がないことや、公務が公正性と信頼性を損なわないこととされています。
国家公務員法第104条
第104条は、103条で決められている副業以外の副業を規制しています。
第104条で対象となる副業は、報酬を受け取るだけでなく、定期的にあることまたは継続的に業務することです。
副業が許可されない基準として、以下の5つがあります。
- 副業の責任者になるもの
- 副業先と公務との間に利害関係があるもの
- 副業のために勤務時間をさくことで公務に支障が出るもの
- 副業によって心身に疲労が生じて公務に悪影響を与えるもの
- 副業によって公務員の信頼を損なうもの
この基準に触れる副業は許可されませんので注意しましょう。
地方公務員法における規定
地方公務員は、地方公務員法第38条で副業のルールが決められています。
地方公務員の副業は、国家公務員法103条の「役員兼業」および「自営兼業」、国家公務員法104条の「その他のすべての報酬のある副業に勤めること」と同様に制限しています。
それでは、地方公務員法の第38条について、わかりやすく説明していきましょう。
地方公務員法第38条
地方公務員法第38条では、「役員兼業」および「自営兼業」、その他のすべての報酬のある副業に勤めることを制限しています。
また、地方公務員が報酬を受ける場合には任命権者の許可が必要です。
任命権者の許可基準は、各自治体の運用によって決められています。
各自治体は、独自に副業の許可基準のガイドラインや指針を作って運用している例があります。
そのため、地方公務員の副業は、各自治体のガイドラインに従って許可を得る必要があります。
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同人活動が副業とみなされたらどうなる?
副業が通報されてバレてしまった場合は懲戒処分を受けます。
法律上の処分である懲戒処分には、減給、免職、停職、戒告の4種類があります。
他に懲戒処分にならない、実務上の処分には、訓告と厳重注意の2種類があります。
処分の重さは、重い順に免職、停職、減給、戒告、訓告、厳重注意となっています。
減給
公務員の給料が減る処分です。
国家公務員の場合は、基本給の月額1/5以下の金額が給料から引かれます。
期間は1年以下とされています。
地方公務員の場合は、自治体の条例ごとで異なりますが、一般的には、給料と勤務地手当の合計1/10以下の金額が引かれます。
期間は1日以上6ヶ月以下とされています。
免職
免職とは職を失わせること、つまりクビです。
公務員が懲戒処分でクビとなったものを懲戒免職と呼びます。
通常、懲戒免職者に退職金は払われません。
懲戒処分の中で最も重い処分となります。
懲戒免職者は、氏名、年齢、所属、処分内容などが公開されることが一般的です。
そのため、再就職できる確率はかなり低くなるといわれています。
停職
停職は職員としての身分は保持したまま、一定期間職務に就けない処分のことです。
停職の期間は、1日以上1年以下とされています。
停職中は給料、ボーナス、昇給はありません。
停職を受けた記録は残るため、昇進に影響します。
副業の許可を得ずに副業してバレた場合は、減給か戒告になる事例が多く見られます。
戒告
戒告は懲戒処分の中では最も軽い処分です。
戒告は、口頭や文書で強く注意され、反省を促されることです。
先ほどと同様に、副業の許可を得ずに副業してバレた場合、減給または戒告になります。
戒告を受けた記録は残るため、ボーナスや昇進にも影響します。
訓告
訓告は、戒告と同様に口頭や文書で注意され、反省を促されることです。
ただし、戒告と異なる点は、実務上の処分であるため、本人に直接的な制裁は与えられません。
つまり、訓告を受けても給料やボーナス、昇級などの影響はありません。
そのため、懲戒処分と比べると軽い処分となります。
厳重注意
厳重注意も訓告と同様に、口頭や文書で注意され反省を促されることです。
処分の内容としては、厳重注意と訓告は大きな違いはありません。
厳重注意は訓告よりも軽い処分という違いがあります。
1つの違反行為に厳重注意が2つ以上あると訓告になります。
事例
高知県の女性教員が漫画の同人誌を販売して利益を得たことで、地方公務員法第38条違反のため、県の教育委員会から処分を受けたことが明らかになっています。
女性教員は、ボーイズラブ(BL)漫画を即売会やネットで同人誌を販売しました。
同人誌の販売期間は2013年2月から2020年11月の約7年半です。
販売売り上げは、52作品で1万7千部を販売し、約1,100万円を売り上げて約175万円の利益を得ていたということです。
事例が問題となったポイントは3つです。
実際のところ、どれくらいが継続的なのか、どれくらいの金額が利益なのか明確な目安はなく、任命権者の判断になります。
この事例では、任命権者の許可なく同人活動したことが、趣味の範囲を超えて営利活動と判断されたということです。
趣味として同人活動を楽しむためにも、上司に相談することは必要です。
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まとめ
いかがでしたか?
この記事では、公務員が同人活動することは副業になるのかをテーマとしていました。
趣味の範囲内の同人活動は副業ではありませんが、グレーゾーンのところがたくさんあり、条件を満たす必要があります。
その条件は、営利ではないこと、信用確保・秘密保持・職務専念を意識すること、許可を得ていることです。
公務員の副業を禁止する法律と処分の種類を紹介しました。
最後に事例を通して、公務員が同人活動するためには上司、任命権者に相談しておくことが重要ということがわかりました。
公務員が、この記事でご紹介したリスクを避けて、安全安心に同人活動を楽しんでください。
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