公務員の定年が引き上げられることを知っていますか。
公務員として働いていて60歳が目前となった時、セカンドライフを考えていた方は必見です。
定年が引き上げられて、60歳で辞めた時と延びた定年まで働いた時の給料や退職金の違いはどうなるか知っていますか。
この記事では、公務員の定年引き上げの狙いや政策の内容、給料や退職金について詳しく説明しています。
60歳を目前とした時、60歳で退職するか、引き上げられた定年まで働くかは悩みますね。
この記事を読むと60歳を超えた時、今の役職がどうなるのか、給料はどうなるのか、退職金はどれくらいもらえるのかがわかります。
定年後どうするのか、セカンドライフを考える時の参考にしてください。
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公務員の定年引き上げの狙いとは?
少子高齢社会の日本。
少子高齢社会の波は公務員にも来ています。
2021年、定年を65歳に引き上げる改正国家公務員法と改正地方公務員法が成立しました。
この法律の狙いは、公務員も若い世代の人口が減る中で、人口の多い高齢期職員が大量に退職することを防ぐことです。
高齢期職員が一度に大量に退職することで、公務で培われた知識や経験が失われる恐れがあります。
この法律によって、高齢期職員が長く現役で勤めてもらうことで、消費の担い手の確保や社会保障制度の維持が期待されています。
地方公共団体における高齢期職員の現状
地方公共団体でも少子高齢化によって、人手不足が問題です。
高齢期職員が定年退職で大量に退職することに加えて、新たに地方公務員になる「なり手」が不足しています。
特に大規模な地方公共団体より、小規模な地方公共団体の方が人手不足は深刻になっています。
人手不足の問題を解決するために、定年退職等により職員としての身分がなくなった者を採用する「再任用制度」があります。
全国的に再任用制度を活用している職員数は年々増えてきています。
さらに、フルタイムの再任用で働く者も平成25年度以降増加しています。
再任用制度の利用が増えた理由は、年金支給年齢が60歳から65歳に引き上げられたためです。
総務省の調査では、令和2年度の地方公務員の定年退職者約70,000人のうち、新規で再任用された者は約36,576人(フルタイム 25,357 人、短時間 11,219 人)でした。
つまり、定年退職者のうち、おおよそ半数以上が再任用職員として仕事をしていることが分かります。
定年引き上げの必要性
人手不足の問題を解決するためには、「再任用制度」だけでなく、定年の引き上げも必要です。
定年を60歳から65歳までに引き上げることは、ただ人手不足を補うだけではありません。
複雑高度化する行政課題へ対応するため、高齢期職員の知識、技術、経験を活用し、次世代へ継承していくことが課題であり、目的でもあります。
総務省によると、地方公務員の人材において、土木技術者や情報技術者、福祉関係の人材などの専門人材の育成が必要であると述べています。
しかし、高齢期職員の定年退職を受けて、専門人材の育成が困難になってきていると指摘しています。
特に技術や経験を継承するためには、ベテラン職員によるOJTが重要とされています。
役職定年制の導入
公務員の定年引き上げによって、高齢期職員は、原則として60歳以降になると管理職から外す「役職定年制」が2023年4月から導入されます。
現在でも再任用は2001年から実施されています。
現在の再任用制度では、再任用後の役職は自治体により様々です。
組織の新陳代謝を上げ、若い世代のポストを確保するために役職定年制が進められています。
ただし、役職定年による異動によって公務の運営が難しくなる場合は、引き続き管理職として勤務させられることもあります。
役職定年制を導入するメリットとして、高齢期職員は管理職経験を活かして、管理職業務のフォローやサポートの役割を担うことで、組織の新陳代謝とリーダーの育成が期待されます。
また、管理職経験で養った視点を活かすことで、管理職時代に気がついていた業務改善などの課題について担当として取り組めて、業務改善が期待されます。
公務員の定年引き上げのスケジュール
公務員の定年引き上げは、2023年4月から開始します。
一度に定年が60歳から65歳に引き上げられるのではなく、2年に1歳ずつ段階的に引き上げられます。
以下が定年引き上げのスケジュールです。
- 2023〜2024年度で61歳
- 2025〜2026年度で62歳
- 2027〜2028年度で63歳
- 2029〜2030年度で64歳
- 2031年度以降65歳
公務員の定年引き上げに合わせて、先ほどの再任用制度や役職定年制、時短勤務制度、情報提供・意思確認制度も実施することになります。
時短勤務制度は、60歳になった後に退職した者に、本人の希望と実績などをもとに考えて時短できる制度です。
時短勤務制度は、現在行われている定年後の再任用制度に似ているところもありますが、雇用する任期が異なります。
雇用する任期は、現行の再任用制度が1年以内で決められた期間であるのに対し、時短勤務制度では常勤職員の定年退職日までになります。
情報提供・意思確認制度は、定年退職する職員に対して、その前年に行われる制度です。
定年退職後の雇用や給料、退職手当についての情報提供と、定年退職後の勤務についての考えを確認する制度となります。
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公務員の定年引き上げ後の給料
公務員の定年引き上げの後、給料はどうなるのでしょうか。
結論として、定年引き上げの後、つまり60歳を超えた後の給料は、直前の給料の7割となります。
正確には、公務員の給与は、給与=給料+手当となっています。
給料は7割になりますが、手当については、給料と一緒に下がる手当と下がらない手当に分かれます。
給料と一緒に下がる手当は、給料と一緒に計算されている手当に属するもので、超過勤務手当や休日給、夜勤手当、期末・勤勉手当、時間外勤務手当などがあります。
変化のない手当は、給料とは別に決められている手当で、定年が引き上げられる前と同額のままの額がもらえます。
通勤手当、扶養手当、住宅手当、単身赴任手当、特殊勤務手当、寒冷地手当、宿日直手当です。
※各自治体により異なります。
公務員の定年引き上げで退職金はどうなる?
公務員の定年引上げで退職金はどうなるのでしょうか?
心配になるポイントは2つあります。
一つは、60歳を超えても公務員を続けて働くことにしたけれど、延長された定年前に退職した場合、退職金は下がってしまうのか。
もう一つは、公務員の定年引き上げ後の給料は7割になりますが、退職金も7割になるのか。
安心してください。公務員の定年引き上げによって、退職金は下がりません。
次節では、公務員の定年引上げによる退職金について、詳しく説明します。
延長された定年前に退職しても不利にはならない
60歳を超えて延長された定年前に退職した場合でも、「定年退職」の扱いになります。
「60歳を超えて公務を続けるけど、延長された定年までは体力が続きそうにない。延びた定年前に退職したら退職金が下がる?」と不安を感じている方は必見です。
延長された定年前に退職しても、退職金が下がって不利になることはありませんから安心してください。
これは、退職理由が「自己都合」にはならず、「定年退職」になるところがポイントです。
退職金の計算方法は、「退職時の給料月額×支給率×調整率」で算出されます。
この支給率は、退職理由が「自己都合」と「定年退職」では数値が変わってきます。
もちろん、「定年退職」の方が数値は高く、退職金が多くもらえます。
そのため、延長された定年前に退職しても、退職金が下がって不利になることはありませんので安心してください。
給料が7割になっても退職金への影響はない
公務員の定年引き上げ後の給料は7割になりますが、退職金に影響はありませんからご安心ください。
「60歳を超えても公務員を続けようと思っているのに、退職金も7割に下がるのならモチベーションが下がる」と思った方は安心してください。
退職金は「退職時の給料✕支給率✕調整率」で算出されます。
この「退職時の給料」は、定年引き上げ後のため、給料が7割になると退職金も7割に下がると考えるのが自然です。
しかし、公務員の退職金については、ピーク時特例が適用となるため、定年が引き上げられても最も給料が高かった時の額で計算されます。
ピーク時特例は、退職時の給料が最も給料の高かった時の文字通りピーク時の給料で計算されるため、退職金は保障されますからご安心ください。
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まとめ
少子高齢社会によって、公務員も若い世代が減る中で、人口の多い高齢期職員が大量に退職することが問題となります。
そのために、定年を65歳に引き上げる改正国家公務員法と改正地方公務員法が成立しました。
両法案の成立によって、3つの政策がはじまります。
- 定年退職等により職員としての身分がなくなった者を採用する「再任用制度」
- 60歳から65歳に引き上げられる「公務員の定年引き上げ」
- 原則として60歳以降になると管理職から外す「役職定年制」
定年引き上げは一度に定年が60歳から65歳に引き上げられるのではなく、2年に1歳ずつ段階的に引き上げられます。
定年引き上げによって、直前の給料の7割になります。
手当については、給料と一緒に7割になる手当と変わらない手当があります。
退職金は給料が7割になっても退職金への影響はありません。
また、延長された定年前に退職した場合は、最も給料の高かった時の給料で計算されるため、退職金は保障されます。
定年後どうするのか、セカンドライフを考える時の参考にしてください。
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